不確実性の高い現代に、連続する過去から未来を導く方程式は存在しうるでしょうか。日本は戦後、製造業によって経済発展を遂げましたが、その陰で人口分布が偏り、地方に過疎という課題を植えつけました。
西日本を横断する中国山地で分かれた南北の地域、山陽と山陰。両者は1960年代あたりからその典型的な道を歩みます。山陽のある街は世界最大規模の製鉄所を誘致し、人口は倍に積み上がりました。発展とともに景色は面影を失い、かつてを想像するのは難しいです。かたや山陰のある町は若者が吸い上げられ、人口が半減しました。古来の製鉄法「たたら」や稲作の文化、神話の世界を色濃く残し、今につながります。
風景は過去における誰かの希望や欲望の帰結。背景を掘り起こせば逆算は可能となります。では現在を礎とした両地域の未来にはどんな眺望が広がるのでしょう。